外国人労働者の増加は「解決」ではなく「新たな問題」

厚生労働省の最新調査によれば、日本で働く外国人労働者は約182万人。
前年から大幅に増加しています。
雇用理由の7割が「労働力不足の解消」。
一見すると「人手が足りないから助けてもらっている」という前向きな説明に聞こえます。

しかし、ここに落とし穴があります。

発表によれば、外国人労働者の平均月給は27万4,900円。
数字だけ見れば決して極端に安いわけではありませんが、
入国前に20~40万円の費用を自己負担する人も多く、そこから借金を背負うケースが少なくありません。結果として「安い賃金でも断れない」状況に追い込まれている人が一定数存在します。

そして、日本人労働者にとっても無関係ではありません。
企業側が「低コストで長時間働いてくれる労働力」を確保できるなら、
正社員を増やすより外国人を雇ったほうが効率的、と考える誘惑が働きます。
そうなれば、日本人が正規で安定して働ける職場は減っていく。
つまり「人手不足の解消」とは聞こえがいいものの、
実態は「低賃金労働の肩代わり」を外国人に押し付けている面があるのです。

なぜこうなるのか。

背景には、少子高齢化による人手不足と、賃金を上げられない日本経済の構造的な停滞があります。
本来なら、労働力不足は賃金上昇や働き方の改善によって乗り越えるべき課題です。
しかし企業はコスト増を避けたい。
そこで「外国人労働者」という“都合のいい解決策”が選ばれているのです。

今回の調査結果は「外国人が増えています、人手不足が和らぎます」とだけ伝えていますが、
その裏にあるのは、日本社会が直面する「低賃金構造の固定化」という問題です。
外国人が悪いのではなく、彼らに依存せざるを得ない経済体質が問題なのです。

「人手不足を補ってくれる外国人労働者」という言葉に隠れている現実は、
私たち自身の賃金や雇用のあり方に直結しています。
だからこそ、単なる人数の増減だけではなく、その内側で何が起きているのかを直視する必要があります。

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