求人広告の透明化は“闇バイト”を防げるのか?
厚生労働省が、求人広告に「氏名・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金」の
6項目を明記するよう求める方針を示した。
背景には、求人サイトを悪用した“闇バイト”の問題がある。
だが、このルールを設けることで、本当に闇バイトを根絶できるのだろうか?
● ルールを増やせば問題は解決するのか?
闇バイトの問題は、違法行為を知らずに応募してしまう求職者がいることにある。
確かに、求人広告に6項目を記載することで「不審な募集」が判別しやすくなるかもしれない。
しかし、犯罪を企てる側は、書類を整えることくらい容易にできる。
記載が義務化されたとしても、架空の企業名や適当な住所を載せてしまえば形だけの対策になってしまう。
● 「本物らしさ」を演出する詐欺の巧妙化
すでに悪質な業者は、きちんとした会社名や住所を使い、一般企業の求人と見分けがつかない形で募集をかけている。つまり、「6項目の記載がある=安全な求人」ではないのだ。
むしろ、形式的なルールを増やすことで、かえって求職者が「きちんと書かれているから安心」と
思い込むリスクすらある。
● 求職者が本当に必要な情報とは?
問題の本質は、「どの情報が本当に信用できるのか」を求職者が見抜けるかどうかにある。
求人広告には、企業の実態や評判、過去のトラブル履歴などを確認できる仕組みが必要だ。
たとえば、ハローワークのように、企業の登記情報や労働基準監督署の指導履歴と
紐づける仕組みを強化するほうが、実効性が高い。
● 求職者に求められる“疑う力”
一方で、ルールを強化するだけでなく、求職者自身が「この求人は本当に安全なのか?」と
疑う力を持つことも大切だ。賃金が異常に高すぎる、業務内容があいまい、
応募後に違う仕事を持ちかけられる——こうした違和感に敏感になることが求職者自身の防衛策となる。
● 本当に必要なのは「見抜く力」を育てる仕組み
求人広告の透明化は、一定の抑止力にはなるかもしれない。
しかし、それだけでは「巧妙化する違法求人」に対抗するのは難しい。
本当に必要なのは、求職者自身が情報を正しく読み解く力を持ち、
不審な求人を見抜けるようになる教育や仕組みの整備だ。
形式だけのルールではなく、本質的な対策を考えるべきではないかと思う。