国民年金納付率83.2%の現実:数字の裏にある不安と課題


厚生労働省が公表した令和6年10月末時点の国民年金保険料の「最終的な納付率」は83.2%でした。
この数字は、令和3年10月分の保険料が3年経過した時点で、どれだけ支払われたかを示しています。
一見すると「8割以上が納付」と聞けば、高いと感じるかもしれません。
しかし、その数字が示すのは単なる納付率であり、
年金制度そのものが抱える深刻な課題や国民の不安に十分応えているとは言えません。

●数字の中の地方格差
納付率を都道府県別に見ると、最も高いのは島根県の92.2%で、最も低いのは大阪府の78.0%です。
この差は何を意味するのでしょうか?
経済的な余裕、地域の高齢化率、あるいは住民の社会保険に対する意識の違いが影響しているかもしれません。
しかし、いずれも推測の域を出ず、本質的な改善策は示されていません。

●国民の根底にある「払うべきか」の葛藤
納付率が高いか低いかを論じる前に考えるべきは、なぜ人々が保険料を納めるのか、
そしてその納付にどんな不安を抱えているのかという点です。
多くの人が「将来、本当に年金を受け取れるのだろうか?」という疑問を抱えています。
少子高齢化が進む中、年金制度の持続性は以前から懸念されており、
政府の保証も必ずしも安心感を与えるものではありません。
このような不安が根底にある限り、納付率だけを強調しても人々の共感を得ることは難しいでしょう。

●納付率では測れない「信頼」の必要性
制度への信頼がなければ、どれだけ納付率を上げようとしても限界があります。
例えば、納付状況を「○○%」と示すだけでなく、納付金が具体的にどのように運用され、
どのような形で未来の自分に返ってくるのかを、透明性を持って説明する努力が必要です。
また、万が一にも受給が困難になった場合のセーフティネットについても議論を深めるべきです。

●さいごに
年金制度は「自分の未来のための投資」だと説明されることが多いですが、
それが十分な信頼を得られていない現状があります。
皆さんは、今の年金制度に信頼を置いていますか?
もし不安を抱えているとしたら、それは何に起因しているのでしょうか。
そして、政府や私たち社会全体は、その不安にどう応えるべきだと思いますか?

納付率という数字は、制度の一側面を示しているにすぎません。
本当に重要なのは、その数字の先にある国民の信頼をどう築くかです。
ただ「納付してください」と言うだけではなく、信頼される制度を目指すことこそ、
これからの課題ではないでしょうか。

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