新生児にマイナカード?便利さと課題を考える
2024年12月2日、政府は新生児に顔写真なしのマイナンバーカード(以下「マイナカード」)を
交付する運用を開始しました。
出生届と同時に申請でき、申請から原則1週間で発行される特急対応の対象となっています。
カードは5歳の誕生日まで有効で、医療保険証としても利用可能ですが、いくつかの制約がついています。
この制度、果たして便利なのでしょうか?それとも問題があるのでしょうか?
以下にポイントを整理しながら考察します。
●新生児マイナカード、何が便利?
1 出生届と同時に申請可能
手続きが一度で済むため、手間が軽減されます。忙しい新生児の親にとって一定のメリットがあります。
2 医療保険証としての利用
登録後、病院や薬局で利用できるため、保険証を別途用意する必要がなくなります。
デジタル化の恩恵を受けられる部分です。
●利用する上での課題
1 暗証番号の入力が必須
医療機関でカードを使うには4桁の暗証番号が必要です。
これは赤ちゃん自身が使うことを想定しておらず、保護者が代行する形になりますが、
実際に運用で混乱が生じる可能性があります。
2 顔認証や目視確認が不可
顔写真がないため、本人確認としての役割が限定的です。
「カードが誰のものか」を確認する仕組みが明確でない点は疑問です。
3 資格確認書の交付手続き
万が一、マイナカードを使いたくない場合、別途「資格確認書」の交付を受ける必要があります。
これがかえって手間を増やす可能性も否定できません。
●本当に必要な仕組みなのか?
この制度は、一見すると便利なように見えますが、
実際には「顔写真がない」という仕様がシステム全体の活用を制限しているように思えます。
新生児や小さい子どもが頻繁に顔つきが変わるため、写真付きカードの発行が難しいというのは理解できます。
しかし、そのためにカードの用途が限定的になるのであれば、「そもそも必要なのか?」という疑問が浮かびます。
加えて、デジタル化が進む中で、保護者や医療機関の負担が逆に増えてしまうような設計は、
机上の空論と言わざるを得ません。
●親の負担軽減が本質的な目的では?
制度の真の狙いが親の負担軽減であるならば、マイナカードの導入以外にも方法があるはずです。
例えば、出生届の手続きと同時に医療保険証や必要な書類を一括で発行する仕組みを
もっとシンプルに設計できないでしょうか?
マイナカードを介さずとも、負担軽減を実現する道筋を考えるべきです。
●結論:利便性と課題のバランスを見直す必要がある
新生児マイナカードの導入は、デジタル化の流れに乗った一歩と言えますが、
その実用性や運用上の課題を精査する必要があります。
本当に親や医療機関の負担を軽減する仕組みになっているのか。
利用者目線に立ち返り、便利さと課題のバランスを見直すことが求められています。