男性の育児休業取得率上昇。本当に変わったのか?
厚生労働省が2024年7月に発表した調査によると、
男性の育児休業取得率が前年の17.13%から30.1%に急増したというニュースが話題となっています。
この数字は、育児休業取得に関して日本社会が進化している証拠なのでしょうか?
背景には、2022年10月に施行された改正育児・介護休業法があります。
この法律により、産後すぐの「パパ育休」や育児休業の分割取得が可能になり、
柔軟性が増したことで、休みが取得しやすくなったと言われています。
しかし、取得率の向上だけで「男性の育児参加が進んでいる」と結論づけるのは早計です。
育休取得率の上昇は、見かけ上の「進歩」に過ぎないかもしれません。
30.1%という数字の中には、短期間での育休取得者も多く、長期間育児に携わる男性はまだ少数派です。
また、取得したからといって、実際に家事や育児にどれだけ関与しているかは別問題です。
対照的に、女性の育児休業取得率は84.1%と依然として高いままです。
このことから、育児の大半は依然として女性が担っている現状が浮き彫りになります。
つまり、男性の育休取得が増えたとしても、その背後には依然として
性別役割分担の固定観念が根強く残っているのです。
政府は、2025年度までに男性の育休取得率を50%以上、2030年度には85%以上に引き上げる目標を掲げています。
しかし、この数字を実現するためには、法律の改正だけでなく、職場文化の大幅な変革が必要です。
職場や社会全体が「男性も育児をするのが当たり前」という意識に変わらなければ、
真の意味での育休取得率の向上とは言えないのではないでしょうか。
数字の裏にある本質を見極め、男性の育児参加が「一時的なトレンド」ではなく、
「文化的な変化」として根付くことが求められています。