フリーランスの報酬トラブル
2024年8月、日本労働組合総連合会が公表した調査結果によると、
フリーランスとして働く人の約半数(46.6%)が仕事上のトラブルを経験しているようです。
特に多いのが、報酬に関する問題です。
具体的には、報酬額が不当に低く設定される(28.8%)、支払いが遅れる(25.8%)、
さらには不払い・過少払いのトラブル(24.9%)が多く報告されています。
●なぜ報酬トラブルが多いのか?
フリーランスの仕事は、正社員のような労働契約ではなく、業務委託契約が一般的です。
このため、労働基準法のような法律によって十分に守られていないのが現状です。
多くの場合、フリーランスは発注者と直接交渉する力が弱く、
不利な条件でも受け入れざるを得ない状況に陥ることがあります。
これが報酬に関するトラブルの一因であると思います。
また、フリーランスの仕事は短期のプロジェクトが多く、
発注者との関係が継続しないことが多いため、報酬に関する交渉が難しくなるケースも少なくありません。
「次の仕事がもらえないかもしれない」という不安から、不当な条件に妥協することがよくあります。
●新しい法律での改善に期待
2024年11月に施行される「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」は、
このようなフリーランスの報酬トラブルを防止するための新しい法律です。
この法律では、発注者が報酬を遅延させたり、支払いを行わなかったりすることを禁止し、
違反した場合には罰則が科される仕組みが整えられています。
しかし、法律ができたからといって、すぐに問題が解決するわけではありません。
特に、中小企業や個人事業主から仕事を受けることが多いフリーランスにとっては、
法律の網をかいくぐる発注者が出てくる可能性もあります。
また、フリーランス自身が自分の権利を守るために、法律の知識を持っているかどうかも重要です。
●真の解決には何が必要か
フリーランスが安心して働ける環境を作るためには、
法律の整備だけでなく、発注者側の意識改革も必要です。
フリーランスを「一時的なコスト削減の手段」としてではなく、
「長期的なパートナー」として考える企業が増えることが、報酬トラブルの根本的な解決につながります。
また、フリーランス自身もスキルを高めたり、交渉力をつけたりすることが重要です。
報酬についてしっかりと話し合い、自分の権利を主張できるようになることが、
今後の安定した仕事につながるのではないでしょうか。
報酬トラブルはフリーランスにとって深刻な問題ですが、
双方の努力と意識改革が、より健全な労働環境を生み出すための鍵になると思います。