スポットワークのリアル
「好きな時間に働ける」「ちょっとした空き時間をお金に」──そんな謳い文句で広がるスポットワーク。
しかし、実際に働いた人の半数近くが何らかのトラブルを経験しているという調査結果が出た。
これは単なる偶然だろうか
連合の調査によれば、スポットワークでのトラブル経験者は46.8%。
その内容は「仕事内容が求人情報と違った」(19.2%)、
「業務に関して十分な指示や教育がなかった」(17.7%)などが目立つ。
さらに、労働条件通知書が常に交付されるケースはわずか30.9%。
残りの7割近くは、一部の職場でしかもらえなかったり、まったく交付されていなかったりする。
要するに、多くのスポットワーカーは 「仕事内容も不透明、指示も曖昧、契約の扱いもずさん」
という環境で働いているということだ。
●なぜこんなことが起こるのか?
スポットワークは、企業側にとって「必要なときだけ人を確保できる便利な仕組み」だ。
しかし、それは裏を返せば「労働者に対する責任を最小限に抑えられる仕組み」でもある。
常に人手不足に悩む業界では、「とにかく人を入れればいい」という発想が先行しがちだ。
その結果、 実態とかけ離れた求人情報が出回り、仕事の説明もろくにないまま働かされるケース が後を絶たない。
また、スポットワークは雇用契約ではなく、業務委託や請負契約として扱われることも多い。
そのため、本来企業が負うべき 労働者への教育や労働環境の整備 が後回しにされがちなのだ。
●「手軽な仕事」に潜むリスク
もちろん、すべてのスポットワークが悪いわけではない。
柔軟な働き方の選択肢として、うまく活用できる場面もある。
ただ、今回の調査結果が示しているのは、 「手軽に働ける」という言葉の裏にはリスクが潜んでいる という現実だ。
求職者側も「単発だから適当でいい」と思わず、 契約内容を確認し、
仕事内容をよく見極める意識を持つこと が大切だ。
一方、企業側も「使い捨ての労働力」ではなく、最低限のルールを守ることが求められる。
スポットワークは“便利な働き方”だ。しかし、それを 都合よく利用されるだけの仕組みにしてはいけない。
企業も労働者も、この働き方の本質を見極める時期に来ているのではないだろうか。