外国人労働者の「入国費用100万円」問題
外国人労働者の就労をめぐる最大のトラブルは「高額な紹介費用」だった。
厚生労働省の調査(令和5年12月公表)によると、トラブルを経験した外国人の約2割(19.6%)が
「紹介会社の費用が高すぎる」と回答。
特に、100万円以上の入国費用を支払った人も13.2%と、決して少なくない割合を占めている。
●なぜ100万円もかかるのか?
外国人労働者が日本で働くには、現地の「送出し機関」や日本側の「受入れ機関」(監理団体や企業)を
通じて手続きを進める必要がある。ここで多額の費用が発生する仕組みになっている。
具体的には、
・送出し機関の手数料(現地での研修費、ビザ手続き費用など)
・日本側の受入れ機関の費用(受入れ手続き、研修、サポート費用など)
・借金による負担(高額な費用を払うために借金し、給与の大部分を返済に充てるケースも)
これらが積み重なり、結果として100万円を超える費用が発生するのだ。
●誰が儲かり、誰が苦しむのか?
この仕組みで得をするのは、送出し機関や監理団体、場合によっては受入れ企業だ。
特に、送出し機関は「日本で働けばすぐに回収できる」と説明し、労働者に高額な費用を請求する。
一方で、実際に日本に来た外国人は、借金を背負い、低賃金で働き続けることを余儀なくされる。
本来、外国人労働者の受入れは「労働力不足を補うため」とされている。
しかし、実態は「労働者が安価な労働力として利用される構造」になっているのではないか。
●解決策はあるのか?
政府は送り出し費用の透明化や適正化を進めるべきだが、現状では制度の抜け道が多い。
企業側も「安価な労働力確保」ではなく、適切な待遇で外国人を受け入れる姿勢が求められる。
外国人労働者は「日本で働けば未来が開ける」と信じて来日する。
しかし、100万円以上の負担を強いられ、働いても借金返済に追われるようでは、
本当に「労働力不足を補う制度」と言えるのか。
日本が本当に必要としているのは、労働力ではなく、人材のはずだ。
今のままでは、日本の国際的な信頼さえ失いかねないと思う。