インボイス制度導入後も続く「免税事業者からの仕入れ」事情

2023年10月にインボイス制度が始まった後も、
課税事業者の7割以上が免税事業者からの仕入れを続けていることが、
日本商工会議所の調査で明らかになりました。
制度導入が即座に取引先の見直しに結びつかず、
多くの中小企業が「制度のメリットよりも、現実的なコストを優先」している現状を示しています。

●なぜ「免税事業者からの仕入れ」が続くのか
制度が変わったとはいえ、取引先との長年の関係や、仕入れ価格の条件などを考えると、
すぐに課税事業者に切り替えるのは難しいと多くの中小企業が感じています。
また、コストや信頼面で、免税事業者との取引を続けざるを得ない企業も少なくありません。
しかし、2029年9月には「免税事業者からの仕入税額控除」が終了するため、
この期限が近づくにつれて、取引の見直しが避けられなくなるでしょう。

●中小企業が直面する課題と今後の支援策
免税事業者からの仕入れを続ける中小企業にとって、
いずれ課税事業者への転換を進める必要が生じますが、
新たな取引先の開拓や価格競争力の維持には大きな負担がかかります。
特に経済的な余裕が限られている中小企業にとって、このような変化は容易ではありません。

そのため、国や自治体が実効性ある支援策を講じることが求められます。
具体的には、免税事業者から課税事業者への転換を後押しする助成金の創設や、
税額控除の経過措置終了に備えた負担軽減策が考えられます。
インボイス制度は企業間取引の透明性を向上させるための施策ですが、
現実的には中小企業が制度のメリットを享受しつつ、事業を持続させるための環境整備が必要です。

制度が実際の経済活動にプラスの影響をもたらすには、
制度の趣旨を生かしながらも企業が柔軟に対応できる支援の仕組みが不可欠です。
それによって、インボイス制度を通じた日本経済の持続的な成長も期待できるのではないでしょうか。

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