訪問介護業界の厳しい現状
福祉医療機構が8月9日に発表した2022年度の訪問介護事業に関する調査によると、
訪問介護事業所の4割以上が依然として赤字を抱えており、
事業所ごとのサービス提供回数の違いが経営状況に大きな影響を与えていることが明らかになりました。
2021年度と2022年度を比較すると、経費が増加したことで、
赤字事業所の割合が40.1%から42.8%に拡大しました。
赤字事業所の割合が増加していることは、業界全体の経営環境が悪化している証拠です。
黒字と赤字の事業所を比較すると、サービス提供回数が大きな違いを生んでいることがわかります。
例えば、社会福祉法人では、黒字と赤字の事業所で収入単価にほとんど差がないにもかかわらず、
1か月あたりのサービス提供回数に違いが見られます。
さらに、営利法人の訪問介護事業所では、黒字と赤字の事業所で、
特に短時間の身体介護(20分未満)の提供回数に大きな違いが見られました。
黒字の事業所では、赤字の事業所よりも3倍以上多くの短時間身体介護を提供しており、
その結果、1つの事業所で得られるサービス活動収益に約3,000万円もの差が出ているのです。
このような現状は、訪問介護事業の持続可能性に対する大きな懸念材料です。
特に、サービス提供回数が経営の成否を左右する要因となっている現状は、
事業所が効率的かつ効果的なサービスを提供するための体制強化が急務であることを示唆しています。
今後、訪問介護事業の健全な運営を維持するためには、
収益構造の改善やサービスの質の向上に向けた具体的な取り組みが必要です。
訪問介護事業者にとっての経営の厳しさを改めて示しており、
業界全体としても新たな戦略と改革が求められる段階に来ていることを強く感じました。