数字のカラクリ──国民年金納付率の裏側
厚生労働省が発表した令和6年度の国民年金「最終納付率」は84.5%。
統計開始以来の過去最高だと、ニュースは誇らしげに伝えています。
しかし、この数字を額面通りに受け止めてよいのでしょうか。
■ 納付率のカラクリ
国民年金の納付率は、保険料を払った人の割合で計算されます。
ただし、経済的に払えない人が申請して「免除」や「猶予」を受けた場合、
その人は計算から外されます。
結果、こんな構図が生まれます。
・払える人はそのままカウント
・払えない人は免除でカウント外
・計算対象は「払える人」だけに近づく
⇒ 見かけ上、納付率が上がる
つまり「払う人が増えた」のではなく、
「払えない人を分母から外した」ことで数字が上がっている面があるのです。
■ 督促で上がる数字
もう一つの要因が徴収強化です。
未納者には催告状、電話、訪問、そして差し押さえまで行われます。
一時的に支払う人が出れば、その分は納付率に反映されますが、
生活の余裕が生まれたわけではありません。
多くは「払えるから払った」のではなく、「払わざるを得なかった」だけです。
■ 将来への影響
免除や猶予を受ければ、その期間の年金額は減ります。
現役世代は「今払えない」、将来は「もらえない」という二重のリスクを抱えます。
数字は改善して見えても、国民の老後保障が実質的に強化されたわけではありません。
■ 本当に見るべきもの
大事なのは、
・将来も持続可能な制度か
・負担と給付のバランスが公平か
・国民が納得して支払える仕組みか
という制度そのものの信頼性です。
「過去最高」という言葉、
数字の裏側を見れば、それは必ずしも国民の生活向上を示すものではないのです。