外国人377万人の時代に、日本社会は追いついているか?

令和6年度末、日本に住む外国人の数が376万8,977人に達し、過去最高を更新した。
前年から約36万人増、10.5%の伸びである。
報道では「最多を記録」と軽く流されがちだが、
この数字の本当の意味を、私たちはどれだけ理解しているだろうか。

●外国人は、もはや「一部の特別な存在」ではない
注目すべきは、日本に長く住む「永住者」がすでに約92万人に達していること。
そして、かつて“労働力の穴埋め”として導入された「技能実習」が約45万人、
「特定技能」が約28万人と増加を続けていることだ。
とくに特定技能は前年比36.5%増という急拡大ぶりだ。

●この背景にあるのは、少子高齢化と人手不足。
日本社会を支える労働力が減り続けるなか、「外国人なくしては回らない」現場があちこちで増えている。もはや「外国人=一時的な存在」ではなく、社会の一員として共に暮らす存在になっているのだ。

●それでも制度も意識も、昭和のまま?
だが一方で、制度や受け入れ体制の整備は後手に回っている。
技能実習制度は今も「労働力確保」が目的であることを建前として否定し続けており、
実際の現場では労働問題が頻発している。
言語の壁、教育機会、行政サービスのアクセス、地域の孤立――課題は山積みだ。

さらに言えば、「外国人労働者=安く使える労働力」という固定観念がいまだに根強く残る企業も多い。
人手不足の穴埋めにはなるかもしれないが、このままでは“新たな格差社会”を生むだけだ。

●「受け入れる」ではなく「共に生きる」社会へ
いま求められているのは、ただ人数を追うことではない。
数字の裏にある「生活者としての外国人の実態」に目を向け、
どうすればこの社会で互いに安心して暮らしていけるかを考えることだ。

外国人が急増した、という事実だけを見て「そうなんだ」と通り過ぎるのではなく、
「日本社会はそれに見合う成熟を遂げているのか?」と問い直すこと。
本当に問われているのは、日本側の覚悟と姿勢であると思う。

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